山野内里子by川島るみ

◎ゲスト・山野内里子選手             ABBF・川島るみ
 



愛知が誇る「絶対女王」8月ゲストは「山野内里子」選手です。
2012年以来、2度目の愛知大会ゲスト。前回は2011年日本女子ボディビル優勝、アジアチャンピオンとして、今回は2015年女子日本フィジーク女王としての凱旋です。
昨年、女子はボディビルからフィジークへ変更。アジアや世界大会に日本代表として出場し、実際に生のフィジークポーズを見ていた山野内選手ですが、ボディビルとはひとつひとつのポーズが異なっており、軸点の置き方から、指先の動きまで変えていく必要があったそうです。また、筋量だけでなく「女性らしさ」を表現することが強く要求されることになった点など、山野内選手をもってしても、かなりのご苦労があったとのこと。しかし、様々な重圧を撥ね退け、見事初代女子日本フィジークチャンピオンの栄誉に輝きました。

鍛え上げられた女性の筋肉というものは、これほどまでに美しいものなのかと、あらためて感じずにはいられない、観るもの全てを虜にしてしまう素晴らしいパフォーマンスをご披露いただきました。
また当日は、愛知女子と西日本女子フィジーク大会でもあり、舞台袖では、憧れの女王のポーズひとつひとつを、食い入るように見つめる選手達の姿が印象的でした。

 さて、競技生活10年以上の山野内選手、数ある大会の中で、今までで一番悔しい思いをしたのは、2010年のジャパンオープン2位。
愛知県で初めて開催されたジャパンオープンであり、愛知県代表として優勝をと意気込んでいただけに、この結果は大変悔しかったそうです。
その年の日本選手権では5位入賞を果たしましたが、自分ひとりのトレーニングに限界を感じ、パーソナルトレーナーとして高名な「本野卓士」氏に指導を受けるようになったところ、翌年ジャパンオープン優勝、そして念願の日本選手権優勝を果たします。
「悔しさをバネに」とはよく使われる言葉ですが、実行に移すこと、更に結果を出すことは非常に困難なことです。良き指導者との出会い、更なる頂点を目指したいという思いが強くなったこの時期が、山野内選手の転機でもあったようです。

 その後のご活躍は周知のとおりですが、最も印象に残った大会はオーバーオール優勝をおさめた「2014年スリランカでのアジア大会」
 日本代表として大変晴れがましい気持ちになったとのことですが、大会後、環境の違いからか体調を崩し、現地の病院に緊急入院という事態に。嬉しさと大変な思いで、忘れられない大会だったとのことです。

ボディビル時代より、トータルな美しさで定評のある山野内選手。中でも一番のこだわりは髪型。担当の美容師の方が、コスチュームやポーズ等全て把握されていて、毎回それに合うカラー、セットを研究してくださるとのこと。
また、コスチュームに関するこだわりは色で「金メダル」にあやかった「ゴールド」がラッキーカラー。今回ゲストポーズ時のコスチュームも勿論、光り輝くゴールドでした。

食事の面に関しては、ONでもOFFでも内容はあまり変わらず、バランス良く、とにかく沢山召しあがるそう。因みにOFF中に増えるのはスイーツ。ケーキをワンホール、軽く食べてしまいますとのこと。ビルダーは甘いもの好きな方が多いですが、山野内選手も例外ではないようです。

厳しいトレーニングの日常を癒す趣味は、映画(洋画・SFもの)を観て過ごされることが多いとのこと。また最近、特にはまっているのは、神社仏閣巡りだそうです。近場では、熱田神宮にふらっとお一人でお出かけになるそうで、静かな時間の中で心を落ち着けることが次への活力につながるようです。

ところで、最近他のカテゴリーへ参入される方も増えていらっしゃいますが、フィジーク以外のカテゴリーに出場してみたいというお考えはお持ちか伺ったところ、きっぱりと「ありません」とのお答え。「女性らしさを保ちながら筋量を増やし、フィジークで世界一を目指したいです。また常に最大の敵は自分自身だと考えています。モチベーションを維持するためには、人と比較するよりも、昨日の自分に少しでも勝ちたいという思いで、日々努力しています」と最後に締めくくっていただきました。

 さてこの後もゲスト出演が続き、お忙しい山野内選手ですが、今期は10月の日本選手権優勝、世界大会出場を目指されるとのこと。ご活躍を心よりお祈り申し上げます。
                                          
【後記】
本番前でピリピリされているのではないかと思いきや、とても気さくな方で、質問にもひとつひとつ丁寧に対応いただき感謝の念に堪えません
今回傍らには、笑顔の素敵な山野内選手のお嬢さんも。実はお母様が競技を始めた頃は多感な年頃でもあり、全く受け入れられなかったとお話くださったことが信じられないほど、今では強力なサポーターとして全面的にバックアップ。山野内選手も何かと頼りにされているご様子で、とても素敵な親子関係がうかがえました。

私服姿の山野内選手、どちらかと言えば小柄で華奢な雰囲気、日本一のボディビルダーとは信じられません。しかし本番前、再び控室のドアを開けた瞬間、そこには確かに「女王・山野内」が立っていました。
その圧倒的なオーラに言葉が出ず、まさに「脱いだらスゴイ!」とはこの方の代名詞ではないでしょうか。
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